縮退光パラメトリック発振器に基づく大規模イジングスピンネットワーク

これまでになく複雑なシステムの解析や最適化が要求される現代社会では、組合せ最適化問題を解くことがますます重要になっている。そうした問題の多くはイジングハミルトニアンの基底状態探索問題にマッピングでき、現在、イジングスピンを物理系で模擬することが、そうした問題に取り組む有望な方法として浮上している。今回我々は、難しい組合せ最適化問題を解くことのできるフォトニックイジングマシンの基盤技術である、縮退光パラメトリック発振器（DOPO）に基づく人工スピンの大規模ネットワークについて報告する。我々は、共振器中に配置した高非線形ファイバー中のデュアルポンプ四波混合を用いて、10,000個を超える時分割多重DOPOを生成した。それらのDOPOを用いて、最近接光結合を導入することで、一次元イジングモデルを模擬した。我々は、スピンドメインの形成を観測し、DOPOしきい値近傍でドメインサイズが発散することを見いだした。このことは、DOPOネットワークが低温イジングスピンのふるまいを模擬できることを示唆している。