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オプトメカニカルに誘起される確率共鳴と光場間のカオス伝送

Nature Photonics 10, 6 doi: 10.1038/nphoton.2016.73

カオス的ダイナミクスは多くの物理系で報告されており、ほぼ全ての科学分野に影響を与えている。カオスは、系の初期条件に対して非常に鋭敏であり、系の出力に予測不可能性をもたらす。従って、カオスは望まれないことが多い。興味深いことに、カオスは、まさにこの特徴ゆえに、デコヒーレンスを抑制し、安全な通信を実現し、確率共鳴におけるバックグラウンドノイズに取って代わる強力なツールになる。これは、ノイズを加えることによって系の情報伝送能力をコヒーレントに増幅できるという直観に反する概念である。今回我々は、オプトメカニカル系におけるカオス誘起確率共鳴と、カオスまで同じ経路をとるようオプトメカニカルに媒介される2つの光場間のカオス伝送を初めて実証したことを報告する。今回の結果は、オプトメカニカル系における非線形現象やカオスの理解に役立つと思われる。また、カオスを用いた情報伝送や、オプトメカニカル系において他の方法では検出できない信号の検出改善に応用される可能性がある。

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