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プログラム可能なスーパーコンティニュームパルスによる染色不要の病理組織学的観察

Nature Photonics 10, 8 doi: 10.1038/nphoton.2016.94

組織の調製、染色、可視化、組織画像の解釈は、最も信頼できる疾患の診断手順として広く受け入れられている。こうした手法は長年にわたって発展してきたものであり、非常に時間と労力を要するにもかかわらず、至るところで病理観察に用いられている。今回我々は、標識せずにマルチモード多光子顕微鏡法で観察を行うための類のない光学イメージング・プラットフォームと方法について報告する。この顕微鏡法では、新しいフォトニック結晶ファイバー光源を用いて、目的に合った化学コントラストをプログラム可能なスーパーコンティニュームパルスによって生み出す。我々は、新鮮なex vivo乳房組織から直接得たメゾスコピックな生物学的組織化、腫瘍細胞移動、リンパ管・血管新生の証拠を含む、腫瘍微小環境の光学的特徴が得られたことを示している。これらの光学的特徴の他に、組織学的な処理や染色がなされた組織ではほとんど見ることのできない細胞や細胞外の特徴が取得できる上、今回のイメージング・プラットフォームは、コントラストをプログラムでき、光学調整が不要で、しかも適応性があることから、染色不要の分子病理組織学的観察が日常的に臨床利用できるようになる可能性がある。

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