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ハイブリッド鉛ハロゲン化物ペロブスカイトの溶液成長単結晶を使ったガンマ光子の検出
Nature Photonics 10, 9 doi: 10.1038/nphoton.2016.139
放射性同位体の大半の崩壊には、エネルギーが約50 keVから10 MeVのガンマ(γ)光子の放出が関与している。安価で感度が高く、周囲温度で動作するそうした硬放射線の検出器は、研究だけでなく、防衛や医薬における多くの応用で望まれている。今回我々は、半導体ハイブリッド鉛ハロゲン化物(MAPbI3、FAPbI3、I処理したMAPbBr 3、ここでMAはメチルアンモニウム、FAはホルムアミジニウム)の0.3~1 cm溶液成長単結晶(SC)が固体ガンマ検出材料となりうることを実証している。1.0~1.8×10-2 cm2 V-1という電荷キャリアの高い移動度・寿命積(μτ積)、109~1011 cm-3という低い暗キャリア密度、109~1010 cm-3という低い電荷トラップ密度、鉛原子とヨウ素原子による硬放射線の高い吸収率から、この可能性が生まれる。我々は、18F–ファリプリドなどの医用放射性トレーサー化合物の放射線純度を調べて、ペロブスカイト検出器の有用性を実証している。さらに、FAPbI3 SCと241Am源を使って、室温でのエネルギー分解検出が示されている。