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スペクトルホールバーニングとマイクロ波フォトニクスへのその応用
Nature Photonics 11, 1 doi: 10.1038/nphoton.2016.225
スペクトルホールバーニングは、不均一に広がったエミッターで使われる確立された光学的手法であり、分光法から低速光や周波数コムにまで応用されている。マイクロ波フォトニクスでは、電子スピン集団が、量子メモリーとして利用できそうな候補であり、記憶時間を長くできる可能性がある。今回我々は、マイクロ波領域のスペクトルホールバーニングによって、長寿命の集団的暗状態を実証している。我々のハイブリッド量子系(超伝導マイクロ波共振器と強く結合した窒素空孔中心)のコヒーレンス時間は、この集団の自由誘導崩壊と裸の共振器散逸速度のどちらよりも長くなっている。従って、このハイブリッド量子系は、個々のサブコンポーネントよりも性能が優れている。このことから、長寿命のマルチモード量子メモリー、固体マイクロ波周波数コム、スピンスクイーズ状態、光からマイクロ波への量子変換器、新しいメタマテリアルへの道が開かれる。こうしたことに加えて、スピン–スピン相互作用や多体現象を直接調べることができる新たな共振器量子電気力学実験が可能になると思われる。