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冷却原子集団を2つ用いる超安定光時計
Nature Photonics 11, 1 doi: 10.1038/nphoton.2016.231
光学遷移に基づく原子時計は、利用可能な時計の中で最も安定なので、最も正確である。こうした原子時計は、原子インターロゲーション期と、量子状態の準備と読み出しに必要な「デッド」タイム(不感時間)を交互に繰り返すことによって動作する。この原子系の不連続インターロゲーションは、原子遷移をインターロゲートするレーザーのエイリアシング周波数ノイズをもたらす(ディック効果)。最近、レーザーコヒーレンスの向上によって光時計の安定度が向上したにもかかわらず、ディック効果によって光時計の性能が常に制限されてきた。今回我々は、この制限を克服するロバストな解決策、すなわち2つの低温原子集団の交互インターロゲーションを利用してデッドタイムのない光時計を実現している。この光時計は、ディックノイズが無視できるほど小さいため、分数周波数不安定度はかつてないほど小さく、平均時間τ秒で6 × 10−17/√τと評価された。さらに我々は、交互二重原子集団方式も検討してレーザーコヒーレンスを拡張し、時計安定度の標準量子限界を引き下げている。これによって、4 × 1015を超えるQ値のスペクトル線が実現された。