Letter
浮揚Yb3+:YLFナノ結晶のレーザーによる冷却・位置調整・回転
Nature Photonics 11, 10 doi: 10.1038/s41566-017-0005-3
真空中で浮揚ナノ粒子を冷却・操作する機能は、巨視的量子力学、力の精密測定、非平衡熱力学を研究する有望な手段である。光浮揚によって可能になる極端な隔離状態は、低雑音の非減衰環境であり、ゼプトニュートンの力や輻射圧ショットノイズの測定、重心運動の冷却の実証に用いられてきた。今では基底状態冷却や巨視的量子重ね合わせの生成が実現に近づいているが、重心と内部温度の両方の制御が必要とされている。現在、マイクロケルビン温度までの重心運動の冷却は実現されているが、内部温度は依然として室温より高い。今回我々は、アンチストークス蛍光冷却を用いて浮揚Yb3+:YLFナノ結晶を130 Kまで冷却することによってナノクライオスタットを実現し、同時に光トラップ場を用いて結晶の位置調整をして冷却を最大化している。