コヒーレンス時間が10分を超える単一キュービット量子メモリー

単一キュービットレベルで量子情報を蓄積し測定できる長時間量子メモリーは、現実的な量子計算と量子通信に不可欠な要素である。トラップされたイオンの集団やイオン化ドナーの核スピンの集団では、ずっと長いコヒーレンス時間が報告されているが、トラップされたイオン系で示されているように、今のところ単一キュービットのコヒーレンス時間は、1分未満に制限されている。今回我々は、同じパウルトラップの中で¹³⁸Ba⁺イオンによって共鳴冷却された、¹⁷¹Yb⁺イオンの単一キュービットで、10分を超えるコヒーレンス時間を観測したことを報告する。共鳴冷却によって、キュービットイオンの加熱による、キュービット検出の非効率性の問題が解消される。我々は、数千の動的デカップリングパルスも加え、磁場変動による環境雑音と局所発振器による位相雑音を抑えた。この単一トラップイオンキュービットの長時間量子メモリーは、スケーラブルな量子コンピューター、量子ネットワーク、量子マネーの不可欠な構成要素になると思われる。