Article

超高速透過型電子顕微鏡法におけるアト秒電子パルス列と量子状態の再構築

Nature Photonics 11, 12 doi: 10.1038/s41566-017-0045-8

電子やX線による超高速イメージングや分光法は、物質における原子スケールの動的過程の解明において現在進んでいる変革の基盤である。その基礎となる技術は、ますます短いパルスを生成し特性評価するレーザー科学に大きく依存している。最近の知見から、アト秒構造化された波動関数を用いて超高速電子顕微鏡を実現できる可能性が示唆されている。しかし、こうした将来の技術には、対応する自由電子の量子状態を生成し十分に分析する手段が必要である。本論文では、自由電子の量子状態の生成、コヒーレント操作、特性評価を行う枠組みを提示し、アト秒電子パルス列を実験的に実証している。位相固定された光場によって、電子波動関数がビーム方向に沿ってコヒーレントに制御される。我々は、新種の量子状態トモグラフィー「SQUIRRELS」を自由電子集団に対して確立している。電子の量子状態を調整して定量的にマッピングできることから、電子と物質のエンタングルメントのナノスケールでの研究が活性化され、アト秒領域での新種の超高速電子顕微鏡法の開発が促進される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度