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ダイヤモンドにおけるコヒーレント色中心のレーザー書き込み
Nature Photonics 11, 2 doi: 10.1038/nphoton.2016.234
結晶内に存在する光学的に活性な点欠陥は、量子情報技術への応用が見込まれるフォトニック系として広く注目を集めている。しかし、個々の欠陥を所望の位置に配置するというデバイス作製の必須要素に課題が残っている。今回我々は、レーザー書き込みを利用して、負電荷を持つ単一窒素空孔(NV−)中心をダイヤモンド内に制御して形成したことを報告する。書き込み光学素子の収差補正によってダイヤモンド結晶内での空孔の精密配置が可能になり、続いてアニール処理を行うことによって、単一NV −中心が最高で45±15%の成功確率で横断面内の目標位置から約200 nmの範囲内に生成される。選択したNV−中心は、固体量子ビットの分散量子ネットワーク構築の前提条件である安定かつコヒーレントな光学遷移を極低温で示した。今回の結果は、量子技術における新しい欠陥形成方法としてのレーザー書き込みの可能性を示すとともに、レーザー加工技術を単一欠陥領域に拡張するものである。