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12%を超える電力変換効率を示す溶液プロセス法によるタンデム型有機太陽電池
Nature Photonics 11, 2 doi: 10.1038/nphoton.2016.240
有機太陽電池の電力変換効率を高める効果的な方法は、太陽スペクトルのより広い部分を利用し、光子エネルギーの熱化損失を最小限にできるよう、2つのサブセルからなるタンデム構造を用いることである。タンデム型電池がうまく機能するには、2つのサブセルが相補的な吸収特性を示し、バランス良く大電流を生成することが重要である。これには、サブセル用に適した活性物質を設計し選定するというかなり難しい試みが必要である。今回我々は、DR3TSBDTとDPPEZnP-TBOという小分子を利用して溶液プロセス法で作製した高性能タンデム型太陽電池について報告する。電子供与性物質としてR3TSBDTをフロントサブセルに、DPPEZnP-TBOをバックサブセルに用いると、効率の良い相補的な吸収特性が得られる。最適化した太陽電池デバイスでは、電力変換効率12.50%(検証値12.70%)が達成された。これは、溶液法による有機太陽電池としては新たな段階の性能である。