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ラマン光のコヒーレント後方散乱

Nature Photonics 11, 3 doi: 10.1038/nphoton.2016.278

光のコヒーレント後方散乱は、不規則な光学媒質内で電磁波が多重散乱するときに観測される。これまで、弾性(レイリー)光散乱については、光のコヒーレント後方散乱が広く研究されてきた。非弾性散乱の発生は、拡散過程における光コヒーレンス度の低下によって後方散乱効果の可視性に影響を及ぼす。今回我々は、拡散性の強いシリコンナノワイヤーランダム媒質からの非弾性後方散乱ラマン放射において建設的干渉効果を初めて実験的に観測したことを論じる。観測された現象は、一般的にはフォノンのコヒーレンス長によって与えられるスケールで起こる、ラマン散乱過程のコヒーレント性に起因している。我々は、レイリー–ラマン混合ランダムウォークの理論モデルとの関連で今回の結果を解釈し、多重散乱現象における位相コヒーレンスの役割を明らかにしている。

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