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誘導放出二重抑制を用いる蛍光ナノ顕微鏡法におけるバックグラウンド抑制

Nature Photonics 11, 3 doi: 10.1038/nphoton.2016.279

誘導放出抑制(STED)蛍光ナノ顕微鏡法は、誘導放出による周辺部の蛍光団の脱励起を通して観察体積の中央サブ領域に蛍光放出を閉じ込める技術を利用した強力な超解像イメージング法である。今回我々は、人工的なバックグラウンド強度を選択的に除去する方法として誘導放出二重抑制(STEDD)を導入している。この方法では、従来の第一STEDパルスの照射に続いて、中央領域を特異的に抑制してバックグラウンドのみを残す第二の遅延ガウス形STEDパルスを照射する。時間分解検出を利用して、第二STEDパルスの前後に収集した光子の加重差をとることによって、このバックグラウンド強度をボクセルごとに除去できる。従って、STEDDでは、バックグラウンドが抑制された超解像画像や、STEDベースの蛍光相関分光データが得られる。さらに、今回提案した方法は、赤方偏移が小さくパワーが低い抑制パルスを検討する際にも有益である。

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