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シリコン導波路における電場誘起二次非線形光学効果
Nature Photonics 11, 3 doi: 10.1038/nphoton.2017.14
結晶シリコンは対称性を持つため、相補型金属酸化膜半導体に適合するシリコンフォトニックプラットフォームにおいて二次の非線形光学感受率χ(2)が抑制される。しかし、位相のみの変調、第二高調波生成(SHG)、和/差周波発生などの重要な過程には、χ(2)が必要である。今回我々は、シリコンリッジ導波路のp–i–n接合に直流電場を印加することによって結晶対称性を破り、シリコンの大きなχ(3)に比例するχ(2)を誘起している。まず、得られたχ(2)を用いて誘電率を摂動させ(直流カー効果)、位相のみの変調を実現している。次に、p–i–n接合の周期的なパターンを形成してχ(2)の空間分布を変化させて、ポンプモードと第二高調波モードを擬似位相整合し、SHGを実現している。我々の測定では、λω = 2.29 µmで最高SHG効率P2ω/Pω2 = 13 ± 0.5% W−1となり、電場誘起χ(2) = 41 ± 1.5 pm V−1となった。我々は、シリコンにおけるそうした電場誘起χ(2)が、キャリアエンベロープオフセット周波数安定器、テラヘルツ発生器、光パラメトリック発信器、チャープフリー変調器などの新種の複合集積デバイスにつながると予想している。