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アンビエント照明下での高効率発電のための色素増感太陽電池
Nature Photonics 11, 6 doi: 10.1038/nphoton.2017.60
室内照明下において高い効率で動作する太陽電池は、携帯型電子機器の電源や、ワイヤレスセンサーネットワーク用やIoT(Internet of Things)用のデバイスの電源として役立つ可能性があるため、実用上非常に興味深い。今回我々は、アンビエント光(環境光)条件下で電力変換効率(PCE)が非常に高い色素増感太陽電池(DSC)を実証している。今回の光システムは、慎重に設計した2つの増感剤(D35、XY1)と、レドックスシャトルとしてCu(II/I)(tmby)という銅錯体(tmbyは、4,4′,6,6′-テトラメチル-2,2′-ビピリジン)を組み合わせて用いており、1.1 Vという高い開回路光電圧を特徴とする。このDSCは、400~650 nmの可視領域全域で90%を超える光電流生成の外部量子効率を達成し、オスラム社製930型温白色蛍光灯による照明下において200ルクスで15.6 mW cm–2、1,000ルクスで88.5 mW cm–2の発電出力を実現している。この場合、PCE は28.9%となる。