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単層半導体におけるバレー分極励起子ポラリトン
Nature Photonics 11, 7 doi: 10.1038/nphoton.2017.86
単層の遷移金属ダイカルコゲナイドは、その電子構造に、偏光によって選択的に励起できる縮退した非等価な「バレー」を持つ二次元(2D)直接遷移半導体である。こうした物質が光子と強く結合したときに、光と物質のコヒーレントな重ね合わせ、すなわち励起子ポラリトンが観測されている。しかし、こうしたハイブリッド準粒子は、単層半導体のバレー感度を利用しない。今回我々は、誘電体マイクロ共振器に埋め込んだ単層MoS2において、バレー分極励起子ポラリトンを観測している。こうした光–物質準粒子は、スペクトルのラビ分裂と反交差を示す偏光を放射し、トポロジー的に分離したスピン結合バレーにおいて強く結合した励起子ポラリトンが存在することを示している。高協同領域におけるバレー間脱分極と共振器で調節された励起子ダイナミクスの相互影響によって、バレー分極励起子ポラリトンが室温で持続する。これは、(共振器に埋め込まれていない)むき出しの単層に見られる分極の消失とは異なる。室温で動作する偏光に敏感なポラリトニックデバイスを実現することで、光と物質のコヒーレント状態における新しいバレー自由度を操作する手段が得られる。