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焼結ハイブリッド型三ヨウ化鉛ペロブスカイトウエハーを用いた直接変換型高性能X線検出器
Nature Photonics 11, 7 doi: 10.1038/nphoton.2017.94
ハロゲン化鉛ペロブスカイト半導体は、どの低温溶液プロセス半導体よりも、本質的に高いX線吸収断面積と著しく高いキャリア移動度を示すことが一般に知られている。今のところ、高効率X線検出向けに、厚さ数百マイクロメートルの高品質結晶ペロブスカイト膜を大面積にわたる処理・加工によって得るという課題は、解決されていない。本論文では、明確な結晶性を有するミリメートルの厚さの多結晶メチルアンモニウム三ヨウ化鉛ペロブスカイト(MAPbI3)ウエハーを作製するための機械的焼結工程について報告する。このMAPbI3ウエハーを最先端のCdTe検出器と比較して評価したところ、70 kVpのX線照射下で2,527 μC Gyair−1 cm−2という見劣りしない変換効率を示すことが明らかになった。両極性移動度と寿命の積が2×10−4 cm2 V−1と高いことが、並外れて高い感度の原因であることが示唆される。今回の研究結果は、ペロブスカイトウエハーを利用した新世代の安価な高効率X線検出器を提示するものである。