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マイクロ共振器における対向伝搬ソリトン
Nature Photonics 11, 9 doi: 10.1038/nphoton.2017.117
ソリトンは、多くの物理系において、非線形性が波の分散を相殺するときに生じる。最近実証されたマイクロ共振器におけるソリトン形成は、非線形光物理学に新しい研究の方向性を開いた。また、ソリトンモード同期によって、分光システムや周波数計測システムの小型化に必要な安定性の高い周波数マイクロコムがもたらされる。こうしたマイクロ共振器ソリトンは、閉じた導波路経路を周回し、一周時間で定まる繰り返し率で繰り返しパルス列出力を生成する。今回我々は、同時に反対方向(時計回りと反時計回り)に周回する対向伝搬ソリトンを調べている。対向伝搬ソリトンは、同じ空間モード群を共有しているにもかかわらず、一周時間を別々に精密に制御できる。さらに、それらの別個のソリトン列の相対光位相と相対繰り返し率の両方が同期された状態を実現できる。この状態によって、繰り返し率の異なる2ソリトン周波数コム列を1つの共振器で生成できるが、分光システムやレーザー測距システムに有用な高い相対コヒーレンスは維持される。