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カーボンナノチューブのsp3欠陥に由来する通信波長における波長可変室温単一光子発光
Nature Photonics 11, 9 doi: 10.1038/nphoton.2017.119
室温において通信波長で動作する量子発光体を作製することは、材料面で非常に困難である。この目標を達成するには、近赤外波長領域で発光し、理想的には制御可能な方法で所望の出力波長が得られる波長可変光源が必要である。今回我々は、単層カーボンナノチューブに共有結合的に導入したアリールsp3欠陥部位における励起子の局在化によって、非常に高い単一光子純度(99%)とショットノイズ限界に近い高い発光安定性で室温単一光子発光を実現する手段が得られることを示す。さらに、我々は、単層カーボンナノチューブの構造多様性に内在する固有の光学的な調節可能性を利用して、通信波長帯全域にわたって室温単一光子発光が可能になることを実証している。検討した中で最大のナノチューブ直径(0.936 nm)において、通信Cバンドの中心(1.55 μm)に近い波長の単一光子発光が実現されている。