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近赤外発光を示す熱活性化遅延蛍光発光体からの高効率エレクトロルミネセンスと自然放射増幅

Nature Photonics 12, 2 doi: 10.1038/s41566-017-0087-y

近赤外の有機発光ダイオードや半導体レーザーは、暗視ディスプレイ、センサー、情報保障ディスプレイを含むさまざまな用途に役立つ可能性がある。有機色素は可視波長で効率よくエレクトロルミネセンスを生じるが、近赤外領域における有機発光ダイオードの性能はまだ不十分である。今回我々は、二フッ化ホウ素クルクミノイド誘導体化合物を用いた、近赤外波長で動作する最高外部量子効率が約10%の熱活性化遅延蛍光有機発光ダイオードについて報告する。このドナー・アクセプター・ドナー化合物は、非断熱カップリング効果に起因する三重項励起状態から一重項励起状態への効果的なアップコンバージョンだけでなく、効率的な自然放射増幅も示す。この活性媒体の極性を制御することによって、エレクトロルミネセンススペクトルの最大発光波長を700 nmから780 nmまで調節できる。今回の研究結果は、近赤外有機発光ダイオードや、熱活性化遅延蛍光に基づくフォトニクス用途の代替分子構造の設計における重要な進歩である。

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