例外点におけるフォノンレーザー動作

非エルミート物理系は、複数の固有値と固有ベクトルが融合するスペクトル特異点である例外点（EP）の周りにおいて従来とは異なる挙動が見られることで、最近大きな注目を集めている。特に、一方向レーザー発振、不可視性、カイラル転送など、EPに関連する多くの新しい着想が実現されている。さまざまなフォトニック構造体におけるEPの物理の理解が進んだことを考えると、EPに関する最も古い理論予測の1つであるレーザー線幅の著しい広がりが、これまで間接的にしか調べられていないことは意外である。今回我々は、結合した2つの共振器によって形成された複合光機械系において、EPを通してフォノンレーザーを操ることによってこのギャップを埋めている。我々は、系がEPに近づくと、片方の共振器で生じた機械的レーザー発振モードの線幅が著しく広がることを観測している。