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グラフェンに基づく金属誘起エネルギー移動によるサブナノメートルの光学的位置特定
Nature Photonics 13, 12 doi: 10.1038/s41566-019-0510-7
単一分子蛍光イメージングは、基礎物理学から生命科学まで、ほぼ全ての研究分野で欠かせない手段となっている。最も重要な応用には、単一分子像の中心位置はその像自体のサイズよりもはるかに高い精度で決定できるという事実を利用する単一分子局在超解像顕微鏡法(SMLM)[例えば、光活性化局在性顕微鏡法(PALM)、確率的光学再構築顕微鏡法(STORM)、蛍光PALM(fPALM)、直接STORM(dSTORM)、ナノスケール構造の画像観察のための点集積法(PAINT)]がある。しかし、第三の次元の方向にも超解像を実現させることが、SMLMの大きな課題となっている。最近、金属誘起エネルギー移動(MIET)を導入して、蛍光発光体の軸方向の位置特定が行われた。これは、励起された蛍光団から金属薄膜のプラズモンへのエネルギー移動を利用している。今回我々は、グラフェンを「金属」層として用いることによって、MIETの位置特定精度を約10倍向上できることを示す。我々はこのことを、単一発光体の軸方向の位置を特定するとともに、脂質二重層の厚さをオングストロームの精度で測定することによって実証している。