Letter
導波路を集積したグラフェンにおけるホットエレクトロンの放出過程
Nature Photonics 13, 12 doi: 10.1038/s41566-019-0524-1
光電子放出は、電子構造の測定から自由電子レーザー源まで広範囲の分野の中核を担っている。金属エミッターでは、単一光子放出過程、多光子放出過程、強電場放出過程が、主要な光電子放出機構である。今回、仕事関数より低い3.60 eVの連続波レーザーを用いて、報告されている多光子放出や強電場放出よりも5桁以上低いパワー密度で、導波路を集積した単層グラフェンから光電子放出が起こることが観測されている。この挙動は、グラフェンにおけるホットエレクトロンの放出によって説明される。単層グラフェンでは、放出表面まで光電子が輸送される必要がなくなるため、熱化する前に放出される確率が著しく高くなる。今回の結果は、集積フォトニクスに駆動されるホットエレクトロンの放出によって、電子放出と集積フォトニクスの両方を調べる豊かで新しい分野がもたらされることを示している。