Letter
室温のファン・デル・ワールスヘテロ構造光電セルにおける電子–正孔液体
Nature Photonics 13, 4 doi: 10.1038/s41566-019-0349-y
半導体では、光励起された電荷キャリアは、電子–正孔気体、束縛された電子–正孔対(励起子)、励起子分子、荷電励起子として存在する。十分高い密度では、電子(e−)と正孔(h+)の非平衡系が融合して電子液滴になる可能性がある。本論文では、多重パラメーター動的光応答顕微鏡法(MPDPM)によって明らかになった、極めて薄いMoTe2光電セルにおける電子–正孔液体を報告する。我々は、MPDPMによって得られた豊かな可視化と、非常に大きなデータセットの包括的な分析を組み合わせて、グラフェン–MoTe2–グラフェン界面で超高速レーザー励起を行うと、T = 297 Kにおいて、光電流応答にリング状の空間パターンが増大する光パワーの関数として急激に形成されることを見いだした。こうしたパターンが突然生じることと共に、極端な劣線形パワー依存性とピコ秒スケールの光電流ダイナミクスから、二次元電子–正孔液滴が形成されたことを示す強力な証拠が得られた。巨視的な数の相関した電子と正孔を特徴とする電子–正孔液体によって、集団的な電子現象を利用した室温のオプトエレクトロニクスデバイスへの道が得られる可能性がある。