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フェムト秒表面X線散乱で明らかになった単層結晶の異方性構造ダイナミクス

Nature Photonics 13, 6 doi: 10.1038/s41566-019-0387-5

超高速X線散乱は、原子レベルの正確さで固有の結晶構造変化をリアルタイムで追跡する主要手段の1つである。しかし、二次元極限の非平衡構造特性の研究への超高速X線散乱の適用は、回折体積が著しく小さくデータ解析が複雑であるため、長年の課題となっている。今回我々は、フェムト秒表面X線回折と結晶学的モデル改良計算を組み合わせて、基板に担持された単層WSe2結晶の超高速構造ダイナミクスを定量化したことを報告する。我々は、吸収された光子の光エネルギーが1ピコ秒以内に面内格子振動と優先的に結合するのに対し、面外格子振動の振幅は、最初の10ピコ秒の間変化しないことを見いだした。モデルを用いたフィッティングによって、励起とともに非対称層内間隔が変化することが示唆されている。観察された異方性非平衡構造ダイナミクスは、実空間でも、運動量空間でも第一原理モデリングの結果と一致しており、単層結晶とバルクでは構造ダイナミクスが異なることを示している。

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