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競争的光化学反応の制御によるペロブスカイト太陽電池の安定化
Nature Photonics 13, 8 doi: 10.1038/s41566-019-0435-1
ハロゲン化金属ペロブスカイトは、太陽電池や各種オプトエレクトロニクスデバイスの作製に広く用いられる材料系となっている。しかし、長期信頼性が保証されなければならない。光誘起イオンマイグレーションや偏析の形で不安定化が起こり、材料劣化につながる可能性がある。また別の相反する報告では、光照射下のイオンマイグレーションが欠陥修復につながるという有益な役割が示されている。我々は、ab initioシミュレーションと制御された条件下でのフォトルミネッセンス測定を組み合わせることによって、キャリアトラップ状態として働く欠陥の光誘起生成・消滅と光不安定性が関係していることを実証する。また我々は、欠陥の生成現象と消滅現象が共存し競合することを示す。特に、ハライド欠陥に関連する長寿命キャリアトラップが、光誘起材料変換を引き起こし、欠陥生成・消滅の両方の過程を駆動する。欠陥リザーバーとして働く配位不足の表面部位をブロックすることで、欠陥形成を制御できる。従って、我々は、パッシベーション戦略を用いてペロブスカイト層を安定化させることで、オプトエレクトロニクス材料の質を向上させ、太陽電池の光安定性を高めることができた。