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超低電力の非線形ナノフォトニクスを通した効率の良い通信波長帯から可視光帯へのスペクトル変換
Nature Photonics 13, 9 doi: 10.1038/s41566-019-0464-9
小型の低電力プラットフォームで光波信号をスペクトル変換する能力は、非線形ナノフォトニクス技術の可能性の中核である。例えば、通信波長帯と可視波長帯や短い近赤外の短波長帯をつなぐデバイスによって、スケーラブルなナノ加工技術に基づく高性能のチップ集積レーザーと、時間や周波数の計測に使われる原子系の間の接続が可能になる。2次非線形(χ(2))系はそうした大きなスペクトルギャップを橋渡しする自然な方法であるが、今回我々は、3次非線形(χ(3))系が、通常は非線形応答がずっと弱いにもかかわらず、これまでにない性能のスペクトル変換を実現できることを示す。我々は、窒化ケイ素のマイクロリング共振器の共鳴増強とナノフォトニックモードのエンジニアリングを組み合せて、共振器増強4波混合を通した通信波長帯(約1550 nm)から可視光帯(約650 nm)への連続波信号の効率の良いスペクトル変換を実証する。我々は、(329 ± 13)μWという極めて低い励起出力を使って、変換効率(30.1 ± 2.8)%で250 THzを超える幅広いスペクトル範囲にわたるそうした変換を実現している。この変換効率は、1 mWでは(274 ± 28)%になると予想され、最新のナノフォトニックデバイスで実現されている効率より1桁以上高い。