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近赤外域の第二生体窓で動作する高効率コロイド量子ドット発光ダイオード
Nature Photonics 14, 1 doi: 10.1038/s41566-019-0526-z
半導体コロイド量子ドット(CQD)は、サイズや組成によって調節可能な高色純度発光を示す。重要なのは、CQDの発光が、近赤外の第二生体(NIR-II)窓(1,000~1,700 nm)の深くまで調節できることである。しかし、これまでに達成された効率が低いので、応用が阻まれている。今回我々は、波長1,397 nmにおける外部量子効率が16.98%、電力変換効率が11.28%のNIR-II CQD発光ダイオードを報告する。この性能は、高いフォトルミネッセンス量子収率と1に近い電荷収支をもたらすデバイス設計によって生まれる。より具体的には、我々は、シリカに封入された硫化銀(Ag2S@SiO2) CQDをセシウム含有トリプルカチオンペロブスカイト・マトリックス中に分散させた2成分発光層を用いている。このマトリックスは、追加のパッシベーション媒体として働くとともに、発光CQDにキャリアを供給する役割を果たす。また、デバイス電流のバランスを取るとともにキャリアの輻射再結合を促進する薄いポルフィリン中間層も、正孔注入コンタクトの特徴である。