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非常に速い逆項間交差を示す有機発光体

Nature Photonics 14, 10 doi: 10.1038/s41566-020-0667-0

最近、熱活性化遅延蛍光系の最低励起一重項状態(S1)と最低三重項状態(T1)の間のエネルギーギャップを最小化することによって、純粋な有機材料では禁止されていると元来考えられていた逆項間交差(RISC)が可能になっている。しかし、T1からS1への直接スピン反転は、両方の状態の電荷移動(CT)の性質が同じである場合(すなわち、それぞれ3CTと1CT)、まだ効率が低い。3CTと1CTの間に局所的に励起した三重項状態(3LE)を入れると、高速のスピン反転が引き起こされると予測されている。今回我々は、分子のドナーセグメントとアクセプタセグメントとの距離を制御し、セグメント間の角度を傾けることによって、1CT状態、3CT状態、3LE状態がほぼ縮退した理想的な熱活性化遅延蛍光分子を系統的に設計したことを報告する。この系によって、速度定数(kRISC)が1.2×107 s-1と非常に速いRISCが実現され、特に高輝度において性能が優れた有機発光ダイオードが得られた。

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