プラズモニックメタ表面における過渡的な光学対称性の破れによる超高速広帯域二色性

超高速ナノフォトニクスは、かつてない速度での光変調を可能にするナノデバイスの開発を目指す新たな研究分野である。有望なアプローチの1つは、ナノ構造材料（金属や誘電体）の光学非線形性を利用し、高強度超短パルスとの相互作用を通して実効誘電率を変調することである。光励起後のそうしたナノ構造体の超高速時間的ダイナミクスは詳細に研究されているが、ナノスケールで生じるサブピコ秒の過渡的な空間的不均一性は、これまで見過ごされてきた。今回我々は、光生成ホットキャリアの不均一な時空間分布によって、高対称性プラズモニックメタ表面における過渡的な対称性の破れが生じることを実証する。この過程は完全に可逆的であり、広帯域過渡二色性をもたらすが、1 ps以内に初期の等方性状態が回復する。これによって、遅い（電子-フォノンおよびフォノン–フォノン）緩和過程に起因する速度のボトルネックが克服される。今回の結果は、高速で偏光を変調する超高速二色性デバイスへの道を開くものである。