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イッテルビウム副格子におけるエネルギー移動によるNIR II応答性フォトンアップコンバージョン

Nature Photonics 14, 12 doi: 10.1038/s41566-020-00714-6

フォトンアップコンバージョンのスマート制御は、ランタニド系材料を生物学的応用やフォトニクス応用に用いるための重要な戦略である。しかし、従来の波長980 nmや808 nmにおける励起ではなく、近赤外域の第二生体窓(NIR II)における励起下でのランタニドのアップコンバージョン発光については、こうした制御が依然として課題となっている。今回我々は、1530 nm光の照射下でさまざまなランタニドイオン(Yb3+、Tm3+、Ho3+、Gd3+、Eu3+、Tb3+)からフォトンアップコンバージョンを実現できるエルビウム増感多層コア–シェルナノ構造における、エネルギー移動性イッテルビウム副格子の概念設計について報告する。また、導入した交差緩和の微細操作を通して、近赤外域の第一生体窓(NIR I)における擬単一バンドアップコンバージョンも実現された。さらに我々は、界面エネルギー移動を介したナノ構造を確立することによって、エネルギー移動の機構的特徴に関する知見を深めている。今回の研究結果は、情報セキュリティーなどのさまざまな最先端応用分野において新たな機会を開く。

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