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光学モードと弱く結合した原子の集団的非線形応答を用いて光子を相関させる
Nature Photonics 14, 12 doi: 10.1038/s41566-020-0692-z
非線形媒質中の光子は、反発し合ったり引き付け合ったりし得るので、強く相関した量子多体状態が生じる。一般的にそうした光の相関状態は、光子モードと強く結合した量子エミッターによって与えられた極端な非線形性に起因する。しかし、そうした方法を用いる際には、避けられない散逸(光子損失など)によって非線形量子効果が分かりにくくなる。今回我々は、弱い結合のみを用い、散逸を利用して、強く相関した光子状態を生成している。非相互作用導波路結合原子の集団は、集団的に増強された非線形相互作用を通して、同時に到着する光子間の相関を誘起する。こうした相関光子の散逸は、非相関光子よりも小さい。我々は、原子の数に応じて、伝送光の強い光子バンチングまたはアンチバンチングを実験的に観測している。この集団的に増強された非線形性の実現は、量子情報科学に転機をもたらすことになる可能性があり、マイクロ波からX線領域の周波数をカバーする非古典光の生成に新たな道を開く。