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ラベルフリー超解像振動イメージングを実現する高次コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡法
Nature Photonics 14, 2 doi: 10.1038/s41566-019-0535-y
コヒーレントラマン散乱(例えば、コヒーレント反ストークスラマン散乱(CARS)や誘導ラマン散乱)顕微鏡法は、生物システムや生物医学システムにおけるラベルフリー生体分子イメージングの強力なツールとなっているが、その空間分解能は回折によって制限される。今回我々は、回折限界を破る高次コヒーレント反ストークスラマン散乱(HO-CARS)顕微鏡法によるラベルフリー超解像振動イメージングについて報告する。我々は、生物試料(例えば生きたHeLa細胞や口腔細胞)において、HO-CARS顕微鏡法の分解能向上を分析し実証している。HO-CARS法は、従来のCARS顕微鏡法と比較して、共鳴対非共鳴バックグラウンド比が本質的に高い。我々は、強い集束の下では、カスケード低次非線形過程(χ(3))よりも高次非線形過程(χ(5), χ(7))に起因するHO-CARS信号が支配的であり、はるかに豊富な分光学的情報が得られることを確認した。今回の研究結果は、HO-CARS顕微鏡法が、生物システムや生物医学システムにおいて高い画像コントラストでラベルフリー超解像イメージングを実現する魅力的なツールになり得ることを示している。