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オンチップ通信向けのテラヘルツトポロジカルフォトニクス
Nature Photonics 14, 7 doi: 10.1038/s41566-020-0618-9
高速オンチップ通信向けの高効率・低コスト・集積ソリューションを実現するには、テラヘルツ周波数の導波路が必要である。そうしたソリューションの実現は、第六世代(6G)ワイヤレス通信、テラヘルツ集積回路、チップ内およびチップ間通信のインターコネクトを含め、情報通信技術に大きな可能性をもたらす。しかし、従来のテラヘルツ導波方法は、欠陥や鋭い屈曲の影響を受けやすいという問題がある。今回我々は、光トポロジカル相を基に、全シリコンチップにおいていくつかの鋭い屈曲部を通るロバストなテラヘルツトポロジカルバレー輸送を実験的に実証している。バレーキンク状態は、そのロバスト性、単一モード伝搬、線形分散ゆえに、優れた情報キャリアとなる。我々は、そうした状態を活用して、かつてないデータ転送レート(10ギガビット毎秒を超える)で高度に屈曲したドメイン壁を通した誤りのない通信を実証している。これによって、非圧縮4K高精細ビデオ(すなわち、水平ディスプレイ解像度が約4000ピクセル)のリアルタイム転送が可能になった。トポロジカルデバイスによるテラヘルツ通信は、テラビット毎秒のデータリンクへの道を開き、自律運転、ヘルスケア、精密製造、ホログラフィック通信などの、人工知能やクラウドベースの技術を実現させる可能性がある。