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生体融和型マイクロレーザーを用いた細胞分解能での心臓組織の収縮性のモニタリング
Nature Photonics 14, 7 doi: 10.1038/s41566-020-0631-z
心臓細胞の収縮性は、拍動する心臓の生体力学的特性を表す重要なパラメーターであるが、単一細胞分解能での三次元心臓組織の機能的モニタリングは、依然として大きな課題になっている。今回我々は、マイクロスケールのウィスパリングギャラリーモード・レーザーを心臓細胞に導入し、細胞分解能での過渡的な心臓収縮プロファイルの全光記録を実現している。マイクロレーザーは、発光輝度と、局所的な屈折率変化に対するスペクトル感度が高いので、個々の心臓細胞の長期追跡、薬剤投与のモニタリング、生きたゼブラフィッシュにおける臓器スケールの収縮性の正確な測定、数百マイクロメートルのラット心臓組織を通したロバストな収縮性センシングが可能になる。今回の研究によって、心臓収縮の基礎的要因としてのサルコメアタンパク質の密度変化が明らかになった。さらに広く見れば、非侵襲的生体融和型光学センサーとしてマイクロスケールやナノスケールの新規レーザーを使用することによって、さまざまな生理学的パラメーターを細胞分解能でモニターする新たな機会が得られる。