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非線形構造の高調波光トモグラフィー

Nature Photonics 14, 9 doi: 10.1038/s41566-020-0638-5

二次高調波生成顕微鏡法は、非中心対称性の構造の撮像に役立つ無標識のモダリティーであり、生細胞の撮像からがん診断まで重要な生物医学応用がある。従来の二次高調波生成顕微鏡法は、強く集束したレーザービームによって生じる強度信号を測定するため、二次非線形材料に対する散乱逆問題を解くことができない。今回我々は、微視的で非線形かつ不均一な物体を撮像する新たなモダリティーとして高調波光トモグラフィー(HOT)を提示する。HOTの動作原理は、干渉法による複素高調波場の測定と、散乱逆モデルを使ったハーモノフォア(harmonophore)の三次元分布の再構成を用いている。HOTによって、空間的時間的に広帯域の場の運動量保存を介した、強力な軸方向の分割が可能になる。我々は、このHOT動作を、β-ホウ酸バリウム結晶やさまざまな生物試料の実験と再構成によって例証した。今回の結果は二次非線形材料を対象としているが、我々は、どのようなコヒーレント非線形過程にもこの方法を適用できることを示す。

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