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単層遷移金属ジカルコゲニドによる光パラメトリック増幅

Nature Photonics 15, 1 doi: 10.1038/s41566-020-00728-0

光パラメトリック増幅は、ポンプ光によってアイドラー場の生成を経て光信号が増幅される二次の非線形過程である。この機構は、現在もつれ光子対生成(現代量子技術に利用される過程)の基礎的要素となっている自発的パラメトリック下方変換と本質的に関係している。今回我々は、極限の厚さにおいて単一パス光パラメトリック増幅を実証している。すなわち我々は、半導体遷移金属ジカルコゲニドを用いて、単一原子層を通して伝搬させる際に増幅を実現できることを示している。そうした二次元極限における二次の非線形相互作用によって、位相整合の必要条件が回避され、非常に広い増幅帯域幅が達成される。我々は、増幅過程がシグナル場とポンプ場の面内偏光に無関係であることを見いだしており、このことは第一原理計算の結果と一致している。我々は、AA積層多層膜を用いることによって、変換効率のスケーリングへの明確な道筋を示している。今回の結果は、ナノフォトニクスや量子情報技術に応用できる可能性がある調整可能な原子サイズの放射光源の開発への道を開くものである。

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