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蒸気のコヒーレンス時間と光周波数参照の向上のためのナノスケールのサスペンド型原子導波路
Nature Photonics 15, 10 doi: 10.1038/s41566-021-00853-4
最近、蒸気セルを集積化・小型化してコスト、サイズ、消費電力を低減することに関心が高まっている。今回我々は、ルビジウム蒸気中にサスペンドしたナノスケールの窒化ケイ素導波路を組み込んだサスペンド型ナノ原子導波路を実験的に実証することによって、チップスケール集積蒸気セルにおける新しいパラダイムを提示する。これによって、光学モードの特性と光–蒸気相互作用を導波路の寸法によって制御して、特定の用途に合うよう精密に調整できるようになる。これまでに報告された原子クラッド導波路と比較すると、今回の新しいデバイスでは、ドップラー広がりと通過時間広がりを大幅に低減でき、蒸気のコヒーレンス時間が改善された。さらに、ファンデルワールスシフトが実質的に排除され、光シフトが2桁激減した。我々は、このデバイスが不安定度50 kHz未満の周波数標準として有用であることを示す。今回実証した方法は、正確かつ精密な光–蒸気応用の恩恵を受ける他のさまざまな用途(例えば、磁気測定、量子記憶、原子時計、高空間分解能フィールドセンサー、全光スイッチング)にも使用できる可能性がある。