Article

ランタニドサブ格子における表面再構成によって誘起される異常アップコンバージョン増幅

Nature Photonics 15, 10 doi: 10.1038/s41566-021-00862-3

アップコンバージョンナノ結晶は、光学イメージングや生物医学への応用向けに広く研究されてきた。しかし、そのフォトルミネッセンスは、ナノ結晶のサイズが小さくなると表面消光によって強く減衰する。多大な取り組みにもかかわらず、そうした消光の機構はまだよくわかっていない。今回我々は、NaGdF4:Yb/Tmナノ粒子への二座ピコリン酸分子の表面配位によって4光子アップコンバージョンが1万1000倍に強まることを報告する。機構的研究の結果から、配位子の表面配位によって軌道混成と結晶場分裂が再構成され、表面の4f軌道と内部のランタニド増感剤のエネルギー差が最小化されることが示された。4f軌道エネルギー共鳴は、イッテルビウムサブ格子内のエネルギー移行を促進し、表面欠陥へのエネルギー拡散を妨げ、最終的に発光体へのエネルギー移動を強化する。さらに、配位子の配位は、2 nmを超える配位子–増感剤距離でエネルギー準位再構成を生じさせ得る。今回の研究結果から、高発光性ナノハイブリッドの開発に関する知見とともに、単一粒子レベルで光学的インタロゲーションシステムを構築するプラットフォームが得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度