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中赤外量子カスケードレーザーによるフェムト秒パルス
Nature Photonics 15, 12 doi: 10.1038/s41566-021-00894-9
量子カスケードレーザーは、進化して小型で強力なコヒーレント中赤外光源となった。しかし、その高速利得ダイナミクスによって超短パルスの形成が強く制限されている。そのため、これまで報告された中で最も短いパルスは数ピコ秒に限られていて、ピークパワーが数百ミリワットであり、時間分解実験や非線形実験への応用の可能性が大きく狭められていた。今回我々は、ほぼ変換によって制限される、ピークパワーが数ワットのサブピコ秒パルスを生成できる手法を実証する。周波数変調位相ロック状態から始まり、スペクトルフィルタリング、利得変調誘起スペクトル拡幅、外部パルス圧縮を経て、超短高ピークパワーパルスが生成されている。我々は、新しい非同期サンプリング法、コヒーレント・ビートノート干渉法、干渉自己相関を用いて、その時間的性質を評価している。今回の結果によって、中赤外域における非線形物理学への新たな道が開かれる。