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3Dナノ印刷における二光子吸収に代わる二段階吸収
Nature Photonics 15, 12 doi: 10.1038/s41566-021-00906-8
二光子吸収に起因する二次の光学非線形性は、三次元(3D)レーザーナノ印刷において重要な光励起の空間的集中をもたらし、工業科学や生命科学に広く応用されている。フェムト秒レーザーによって、高効率二光子吸収を得ることが可能になるが、高次過程、コスト、信頼性、サイズなど、多くの問題が伴う。今回我々は、一次光励起過程として、二光子吸収に代わって二段階吸収を導入している。二段階吸収は、適切な条件下において、二光子吸収と同じ二次の光学非線形性を示す。我々は、二段階吸収に対応する光開始剤、捕捉剤、確立されたトリアクリレートに基づくフォトレジスト系を提示する。我々は、この系によって最先端の3Dナノ構造などの印刷が可能になることを示す。こうした実験では、波長405 nmで発光する安価な小型連続波半導体レーザーダイオードの約100 μWの光出力を用いている。今回の研究によって、3Dレーザーナノプリンターの大幅な小型化と低コスト化への扉が開かれる。