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リン光性分子凝集体を用いた安定な高効率有機発光デバイス
Nature Photonics 15, 3 doi: 10.1038/s41566-020-00734-2
高輝度で動作する安定な高効率有機発光デバイス(OLED)は、将来の高解像度ディスプレイや照明製品に望ましい。今回我々は、魅力的なオプトエレクトロニクス特性を持つPd3O8-Pと呼ばれる四座配位Pd(II)錯体を報告する。Pd3O8-Pの凝集体は、室温において、1に近いフォトルミネッセンス量子収率と0.62 μsという短い過渡寿命を示した。ホストフリーPd3O8-PイエローオレンジOLEDは、ピーク波長588 nm、半値幅84 nm 、CIE座標(0.52, 0.47)の発光を示し、ピーク外部量子効率(EQE)34.8%を達成した。このデバイスは、効率ロールオフが抑制されており、1000 cd m−2で33.5%、1万 cd m−2で29.5%という高いEQEを維持した。動作半減寿命の推定値は、1000 cd m−2で959万時間であった。四座配位金属錯体が青色発光領域に三重項を有するという事実は、将来の高効率かつ長寿命の青色OLEDの開発にも役立つ可能性がある。