Letter
キャリアエンベロープ位相安定な7オクターブの高輝度光源
Nature Photonics 15, 4 doi: 10.1038/s41566-020-00735-1
紫外からテラヘルツのスペクトルをカバーし、コヒーレントな数サイクル持続時間の光波形を生成する高輝度光源があれば、かつてない汎用性と、生化学センシングから時間分解非線形分光法やアト秒光波エレクトロニクスまで幅広い応用の機会がもたらされると思われる。周波数変換やスーパーコンティニウム生成を用いたさまざまな光源を組み合わせることで比較的広いスペクトル範囲が得られるが、多くの応用では、もっと広いスペクトル範囲と、時間領域測定向けの低ジッター同期が必要である。今回我々は、同時スペクトルカバー範囲が紫外(340 nm)からテラヘルツ(40,000 nm)までの7光学オクターブにわたる、中赤外周波数コムによってシードされるキャリアエンベロープ位相(CEP)安定な光源を報告する。反共振反射フォトニック結晶ファイバーにおけるソリトン自己圧縮および分散波生成と、BaGa2GeSe6におけるパルス内差周波生成を組み合わせることによって、スペクトル輝度がシンクロトロン光源よりも2~5桁高くなる。これによって、ダイナミックレンジの広い分光法が可能になり、アト秒物理学や材料科学の分野に数多くの機会がもたらされる。