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超放射の時間反転による超吸収の実現
Nature Photonics 15, 4 doi: 10.1038/s41566-021-00770-6
光の放射と吸収は、光物質相互作用の中核である。放射速度と吸収速度は原子や分子の固有の特性と見なされているが、量子情報処理、計測学、光エネルギーハーベスティングなどの応用において、放射速度や吸収速度を変化させるさまざまな方法が探し求められている。有望なアプローチの1つは、超放射と同じように放射体の集団的挙動を利用することである。超放射は、さまざまな系で観測されているが、吸収における超放射に対応する概念は、これまで実現されていなかった。今回我々は、超放射の時間反転過程を実行することによって、増強された協同的吸収(超吸収)を実証している。観測された超吸収速度は、通常の吸収よりもはるかに速く、吸収される光子の数は原子数の2乗に比例して増大しており、超吸収の協同的性質を示している。今回の超吸収の性能は、従来の吸収の限界を超えており、弱信号センシング、光エネルギーハーベスティング、光物質量子インターフェースを容易にする可能性がある。