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超高速極端紫外過渡吸収のコヒーレント制御
Nature Photonics 16, 1 doi: 10.1038/s41566-021-00907-7
超高速極端紫外(XUV)過渡吸収は、関与する状態の寿命より速い時間スケールで、原子や分子が光を吸収する過程である。コヒーレント制御では、量子コヒーレンスを用いて、光物質相互作用における量子経路が操作される。今回我々は、これら2つを組み合わせた。我々は、吸収スペクトル線形状を制御し、ローレンツ型から、ファノ型、さらに反転ローレンツ型へと変化させた後、元の形状に戻したことを示す。こうした制御は、超高速XUVパルスが到達するかなり前に、水素分子の基底電子状態において量子コヒーレンスを形成することによって実現される。我々は、光学利得となる12 eVにおいて、吸収が負になりうることを示す。今回の観測結果は、スペクトル線形状の制御に関する新たな知見をもたらすとともに、XUVスペクトル域における反転分布のないレーザー発振の実現への道を開くものである。