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誘電体におけるアト秒電子運動制御
Nature Photonics 16, 1 doi: 10.1038/s41566-021-00918-4
アト秒科学は、数サイクルパルスによって駆動される高強度場の極端な非線形性を利用して、アト秒の時間分解能を達成するとともに、物質の電子運動ダイナミクスのリアルタイム研究を可能にする。今回我々は、数百アト秒のオーダーの数サイクルパルスの高強度場によって生じる誘電体系の相対的電子遅延応答を測定した。さらに我々は、強い駆動場に続く電子応答を利用して、アト秒分解能の全光学的な光場サンプリング方法を実証した。この方法によって、駆動場と物質における誘起された超高速ダイナミクスの直接的な関連性が得られた。また我々は、合成光波形を用いて誘電体における電子運動の制御も実証する。この電子運動のオンデマンド制御は、かねてから期待されていた超高速スイッチや量子エレクトロニクスの確立への道を開くものである。今回の成果によって、データ処理や情報符号化の限界速度が1ペタビット毎秒を超える速度に向上し、情報技術の新領域が開かれると期待される。