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2個の単一リュードベリ原子の間で起こるナノ秒スケールの超高速エネルギー交換

Nature Photonics 16, 10 doi: 10.1038/s41566-022-01047-2

巨大な電子軌道を持つリュードベリ原子は、マイクロメートルの距離でギガヘルツ領域に達する双極子–双極子相互作用を示すため、超高速量子演算を実現させる優れた候補となっている。しかし、2個の単一原子間におけるそうした強い相互作用は、原子位置のゆらぎや必要な励起強度に対して厳しい要件があるため、これまでのところ利用されていない。今回我々は、この領域を探究する新しい手法を報告する。まず我々は、原子を捕捉してホログラフィック光ピンセットの運動量子基底状態に冷却することによって、30 nmの量子限界精度で、最短で1.5 μmまで原子間距離の制御を可能にした。次に我々は、超短レーザーパルスを用いて、リュードベリブロッケード領域をはるかに超えるリュードベリ状態に、これらの隣接原子対を同時に励起し、アト秒精度でラムゼー干渉法を行った。これによって、これまでの光ピンセットプラットフォームにおけるどのリュードベリ実験よりも2桁速いナノ秒時間スケールで完了する、相互作用駆動超高速エネルギー交換を誘起し追跡することが可能になった。この超高速コヒーレントダイナミクスは、量子ゲートの主要リソースとなる条件付き位相を生じさせ、今回の超高速リュードベリプラットフォームを用いて双極子–双極子相互作用によって決まる速度限界で実行される、量子シミュレーションや量子コンピューテーションへの道を開く。

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