Article

グラフェン光検出器における固有の超高速光–電気変換ダイナミクス

Nature Photonics 16, 10 doi: 10.1038/s41566-022-01058-z

グラフェンにおける光-電気変換は、期待されている超高速低消費電力情報技術を実現するのに重要な現象である。しかし、その機構と固有の時間スケールを明らかにするには、未知のテラヘルツエレクトロニクスやデバイスアーキテクチャーが必要である。今回我々は、超高速光熱電流のオンチップ電気的読み出しによって、高品質グラフェンにおける光–電気変換過程の解明に成功した。我々は、抵抗性酸化亜鉛トップゲートを用いて抵抗器–コンデンサー回路の時定数を抑制することによって、帯域幅が最大220 GHzのゲートチューナブルなグラフェン光検出器を構築した。我々は、非局所的光電流ダイナミクスを測定すると、電極からの光電流抽出が準瞬間的で、長さ数マイクロメートルのグラフェンにおける測定可能なキャリア走行時間がなく、Shockley–Ramo定理に従うことを見いだした。光電流生成時間は即時から4 psを超えるまで非常に広く調整可能であり、その起源はフェルミ準位に依存するバンド内キャリア–キャリア散乱と特定されている。今回の結果によって、超高速光科学とデバイス工学の溝が埋まり、超高速グラフェンオプトエレクトロニクスの応用が加速される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度