室温の上方変換超蛍光

超蛍光（SF）は、自己組織化した発光体や協調的に結合した発光体の集合に起因する特異な量子光学現象である。SFは、ナノフォトニクスや光コンピューティングにおけるさまざまな応用に理想的な短く強い光バーストを生成する。しかし、SFは、発光体の協調的結合の前提条件のせいで、従来は、限られた系（例えば、原子ガスやペロブスカイトナノ結晶超格子）において、極低温条件下でストークスシフトした形で観測されていた。今回我々は、数個のランダムに集合したナノ結晶や単一のランタニドドープ上方変換ナノ結晶において、室温で反ストークスシフトSFが実現されることを示す。さらに、上方変換されたSFは、1万倍に加速されたナノ秒寿命（通常の上方変換発光ではτ = 455.8 μsなのに対し、SFではτ = 46 ns）を示し、従来の上方変換系のゆっくりとした減衰を克服した。従って、今回の概念的な室温反ストークスシフトSFは、超高速上方変換の基礎を築くだけでなく、既存のSF系によって制限されてきたさまざまな応用への直接的な道を開く。