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超音波誘起気泡による透明化を用いた深部レーザー顕微鏡法
Nature Photonics 16, 11 doi: 10.1038/s41566-022-01068-x
レーザー走査型顕微鏡法は、生物医学研究において極めて重要な撮像ツールであるが、組織による光の散乱が撮像深度を制限している。今回我々は、この制限を克服するために、超音波誘起気泡に基づく一時的な局所的透明化を利用した超音波誘起透明化光学顕微鏡法(ultrasound-induced optical clearing microscopy)と呼ばれる方式を提案する。この方法では、高強度パルス超音波によって所望の深度に気泡を生成した後、低強度連続超音波によって撮像時に気泡を維持する。結果として、光散乱や、入射光子の伝搬方向の望ましくない変化が気泡雲(bubble cloud)において最小化されるため、より深い結像面にレーザーを強く集束できる。我々は、ファントム実験やex vivo実験を通して、超音波誘起透明化光学顕微鏡法が撮像深度を6倍以上増大できる一方で、分解能が従来のレーザー走査型顕微鏡法と同等であることを示している。